来年から携帯電話用の電波の帯域割当が変更になり、一部のキャリア、つまりauの古い機種は利用できなくなる。これはどういうことかというと、白林檎の使っている機種が割当変更以後は不通になるということである。というので、今年の春頃から、auから機種変更の優待割引を案内するダイレクトメールが度々届いていた。この機種なら無料で交換しますよ、こっちの機種もこんなにお安くなりますよ、そもそもあなたの機種は来年から使えなくなるんですよ、さあ変えろ今すぐ変えろと、まさに矢の催促である。しかしぼくは生来メンドウなことが嫌いであるのと、長く使っていた日立の機種に愛着があったので、なかなかauショップに足を運ばなかった。
そうこうする内に夏モデルが発表されて、ちょっと気になる機種が出た。京セラのK009である。スタイリッシュな上に使いやすそうで、これが優待の対象になったら機種変更をしても良いと思えた。で、さらに時間が流れて11月の末頃、またauからダイレクトメールが届いた。そしてこれに件のK009が優待割引、それも無償交換対象と書かれていたので、ようやく変更してきたという訳である。
ところでぼくの使っているのはauであるから、当然iPhoneやAndroid搭載スマートフォンにも変更が可能である。それでもK009を、というよりいわゆるガラケーを中心に検討したのは、スマホが電話としては使い物にならないからだ。耳に付けて通話をしたら液晶画面に脂がべったり付きそうだし、何より電池の保ちが悪いのはいただけないと思ったからである。
こういうことを書くと「スマホを電話として捉えるのが間違っている」と言い出す人もいるだろうが、これは反論にはならない。スマホが電話としては使いにくいことを暗に認めているからだ。もっと言えばぼくと同意見な訳である。というより、これは機械マニアにとっては共通認識とでもいうべきもので、ガラケーが携帯電話に様々な機能を追加する方向で進化してきた機械であるのに対し、スマートフォンはごく小さなパソコンに携帯電話をくっつけたようなもので、はっきり言えば通話機能はオマケみたいなものなのである。スマホの携帯電話機能を通話に使わないなら何に使うのかといえば、Webやメールなどのデータ通信回線として使うのである。要するに、スマホは従来のケータイから機種変更する物というより、普段からノートパソコンを持ち歩いていた層が荷物を軽くするために買い足す物なのだ。
猫も杓子もスマートフォンというご時世に、少なくとも周辺からは機械マニアだと思われている白林檎が従来型のケータイにわざわざ機種変更したのは意外に思われそうだが、それは大体上記のような理由からである。確かにぼくはどちらかといえばスマートフォンが欲しい側の人間だが、どちらかひとつを選べと言われたら、今のところ必要なのは携帯電話の方だったのだ。また、一定の範囲内では常識と言えそうなことをこれまたわざわざ書いたのは、万が一キャリアのエライ人か何かの目にとまって、スマートフォン一辺倒な現状が改善されればと思ってのことである。
スマートフォンは素晴らしい機械だから持つ人には満足してもらいたいし、ユーザを満足させるだけのポテンシャルをスマホは確かに秘めている。実際、満足している人たちもたくさんいることをぼくは知っている。一方で、電池や料金のことなどで、不満の声が絶えないのも事実だ。おそらく携帯電話と勘違いして入手したそういう人々の怨嗟の声で、スマートフォンのブームに水が差されてしまってはもったいない。いっそのこと「次世代型携帯電話」という類の呼び方や煽り方は止めた方がいいのではないかと思う今日この頃である。