先週の桜花賞では、今年の牝馬クラシック戦線ではブエナビスタに逆らい得ぬことをあらためて思い知らされた。少なくとも春の間は一強が続くのだろう。では牡馬クラシックはどうか。
ここまで牡馬クラシック戦線は三強と言われている。すなわちロジユニヴァースを筆頭に、アンライバルド、リーチザクラウンが実力的に抜けているという訳である。特にロジユニヴァースにはディープインパクト以来の無敗での皐月賞制覇がかかっているだけに期待せざるを得ない。前売りでも断然の一番人気であった。
ところで牡馬三冠にそれぞれキャッチコピーが付けられているのはよく知られているところだ。皐月賞は最も速い馬が、ダービーは最も運の良い馬が、そして菊花賞は最も強い馬が勝つ、というのがそれである。ダービーの運に関しては出走頭数が最大18頭になってからはあまり当てはまらなくなったけれども──昔のダービーでは30頭近くが出走したこともあった。カブラヤオーのダービーは28頭立て、もう少し時代が下ってトウカイテイオーのダービーでも20頭立てだったのだ──皐月と菊の二冠はまだ当てはまる。
ここでいう「速い」とはどういうことだろうか。これは色々なパターンが当てはまる。スタートダッシュが速い、末脚が圧倒的に速い、字は違うが成長の早さもこれに当てはまるだろう。
実際問題として皐月賞を制した追い込み馬はナリタブライアンやディープインパクトなど圧倒的な末脚を武器にした馬ばかりで、普通の追い込み馬には戴冠が許されない。皐月賞馬のほとんどは先行馬か逃げ馬である。殊に近年はその傾向が顕著で、昨年も一昨年も逃げ馬が勝っているし、そのまた前年のメイショウサムソンも中団より前を追走して差す競馬をする馬だった。
さて、問題は、今年の有力馬たちがすべて逃げ・先行馬ということだ。これはなかなか本命を決めづらい。中山の大外枠が圧倒的に不利であるというのは良く言われるところで、ここに入ったリーチザクラウンの父スペシャルウィークは、同じ鞍上・同枠で皐月賞を取り逃した。一方で大外枠からきっちり差し切ったトウカイテイオーのような例もあるし、そもそもスタートダッシュが速く難なく先行できる馬には左様なジンクスが関係ないことは、まさに昨年のダイワスカーレットの有馬記念で証明済みである。差し・追い込みを得意とする武豊騎手とはいえ、ここまでずっと逃げ戦法で勝ってきたリーチザクラウンを下げることはないだろうから、今年は後者に当てはまると考えるべきだろう。
他に可能性のある馬としては、弥生賞でロジユニヴァースを追走して二着に粘り込んだミッキーペトラ、スプリングステークスで三着に差し込んできたフィフスペトルが挙げられようか。京成杯二着のナカヤマフェスタも侮れない。
◎ロジユニヴァース
○アンライバルド
▲ミッキーペトラ
△リーチザクラウン
☆フィフスペトル
悩んだ末、リーチザクラウンは2000mでの実績が二着までなので少し評価を下げることにする。◎=○▲、◎→△の馬単6点か、◎○ー▲△☆の馬連6点。あるいは、もういっそのことロジユニヴァースの単勝を握りしめてレースを眺めることにするか。